猫の飼い方・しつけ方
猫を飼い始めたら
しぐさを見ているだけでも心が和む猫との生活。甘えて寄ってきた猫を撫でていると、
こちらまで気持ち良くなってきます。 でも、抱こうとしたらさっと逃げてしまったり…。
猫は、飼い主に従うという考えがほとんどない、我が道をいく”動物。
そんな気質を理解して、上手に育てて行きましょう。
1. 新しい環境に
慣れさせるのが第一
猫を迎えた当日は、環境に慣れさせることを第一に考えてあげましょう。猫を疲れさせないようにあまりかまい過ぎずにそっとしておいてあげてください。
もともと猫はよく眠る動物です。さらに子猫にはたっぷりの睡眠が必要です。寝ている時は邪魔をせず、ゆっくり眠らせてあげること。 また、子猫は好奇心旺盛なので部屋を探索します。夜行性の動物でもあるため、昼間は寝てばかりいても夜は運動会のようにはしゃぐことがあります。動くものを見ると急に走り回ったり、とびつくこともあるので、危険なものは片付けておきましょう。
我が家に子猫を迎える日の注意
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- 子猫が寝ている時は邪魔をしない
- たっぷりの睡眠が必要です。
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- 初日はあまり大勢の人には 対面させない
- 環境が変わっただけでも緊張で疲れているので、まずは静かな環境をつくってあげましょう。
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- 家の探索は存分にさせる
- 猫は自分の住む環境を納得するまで探索しないと安心しない習性があります。
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- 危険なものはあらかじめ撤去
- 猫が走り回って、壊れたり倒れるものがあると危険。また、糸状のものは猫が飲み込んでしまうと吐き出すことができず命にかかわることもあるので、落ちていないかチェックしておきましょう。

2.トイレをしっかり教えよう
犬に比べ、猫は比較的早くトイレを覚えます。トイレはその猫専用のものを用意してください。猫がそわそわして、あちこちニオイを嗅ぎ、床をかくしぐさを始めたら、トイレに連れて行き中に入れてあげましょう。
これを何度か繰り返すうちに、自分でその場所に行き排泄するようになります。猫の入手先から以前使っていたトイレの砂を少しもらって、今のトイレに敷いておくとさらに早く覚えます。
トイレ以外の場所で排泄していた時は、その尿を拭きとったトイレットペーパーをトイレに入れておきましょう。また、排泄した場所にトイレを設置するのもいいでしょう。
猫のトイレのしつけ方
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- 1猫の砂を入れたトイレを決まった場所にセット
- 猫が落ち着いて排泄できる場所。リビンクの隅などに設置するのがおすすめです。猫を何度かトイレに入れて砂のある場所を教えておきます。
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- 2猫がトイレを探すしぐさをする
- トイレに連れて行き、中に入れて排泄させます。
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- 3自分でトイレ行くようになる
- [2]を何度か繰り返すとトイレの場所を覚え、
自分からトイレで排泄するようになります。

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- 猫のトイレは1頭1台
- 複数の猫を飼う場合は、それぞれにトイレを用意しましょう(※多頭飼いの場合は「飼育頭数+1」が推奨)。
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- 猫のトイレは常にキレイに
- トイレが汚れていると別の場所で排泄することがあります。
不適切な場所での排泄が習慣化することもあるので、猫のトイレは常にキレイに保ちましょう。
3. 食事について
バランスのとれた食事を与えるためには、「総合栄養食」と表示のついたフードを主に与えましょう(※猫の月齢・年齢に合わせたものを選び、与えましょう)。
猫は食事を一度に食べきらずに、食べ残しながら少しずつ食べることがあります。一日に与える量を決めて、数回に分けて与えましょう。草を食べる習性もあるので、「猫の草」も用意しましょう。さらに、猫は偏食傾向が強く、嗜好(しこう)が偏ると栄養バランスが崩れ、病気にかかりやすくなります。 人間の食べ物をむやみに与えないことも大切です。子猫の頃から正しい食生活を心掛けてあげましょう。
また、猫のおやつには様々な栄養素が補助されているものがあり、日頃の食事で補うことが難しい栄養素をおやつで補う方法もあります。
与え方や量には注意しながら活用できれば、猫とのコミュケーション手段となり、信頼関係を築くことができるでしょう。

4. 健康管理とワクチン接種
捨て猫の場合はもちろんですが、購入した場合もなるべく早く動物病院へ連れて行き、健康診断を受けさせましょう。
特に猫のウイルス性疾患にかかっている場合は、早期の治療が大切です。母猫から病気を受け継いでいる場合もあるので、きちんと検査をしてもらいましょう。 病気でない場合も予防するワクチン接種が必要です。生後2カ月と3カ月の2回受けた後、毎年1回ワクチンを接種しましょう。
また、ノミ・ダニなどの予防も獣医師に相談して、きちんと対策をとっておくことをおすすめします。
ワクチン接種で予防できる主な病気
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- 猫ウイルス性鼻気管支炎
- 猫のインフルエンザとも言われる鼻水などの出る感染症。子猫には致命傷になることもあります。
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- 猫カリシウイルス感染症
- くしゃみ・鼻水、せき、発熱などの症状があり、猫風邪と呼ばれる感染症の一種。子猫には致命傷になることもあります。
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- 猫汎白血球減少症
(ねこはんはっけっきゅうげんしょうしょう) - 血液中の白血球が極端に減少する、死亡率の高いウイルスによる病気です。
- 猫汎白血球減少症
5. 身元がわかるようにしておこう
ちょっとしたアクシデントで迷子になっても、猫は自分の名前や住所を伝えることができないため、できるだけ迷子札をつけておくことをおすすめします。
また、マイクロチップも迷子や盗難防止になります。マイクロチップとは直径2mm、長さ8~12mm程度の円筒形の電子標識器具で、犬や猫の体内に獣医師さんが専用の注射器で埋め込む、15桁の数字が入った個体識別ができるチップのこと。動物保護施設などに保護されるとAIPO((社)日本動物保護管理協会)のデータベースで照会があり、ペットの身元が判明します。身元が判明した場合、飼い主に連絡が入るシステムになっています。新しい家族である猫のためにも、迷子札やマイクロチップを活用して、いざという時に身元がわかるようにしておきましょう。
身元を伝える方法
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- 迷子札
- カラーにつける小さくてお洒落なタイプもあります。
外出する時は必ず付けておきましょう。
- <関連情報>
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- マイクロチップ
- 犬や猫の体内に埋め込む、個体識別用のデータチップ。
施設に保護された時に連絡があります。

6. なでながら健康チェックを
猫は無理に触ると怒りますが、自分がなでてほしい時にはそばに寄ってきて、ひざに乗るなどの行動をみせます。
そういう時は優しくなでながら、身体に異常がないかもチェックしましょう。ただし、猫は長時間なでると許容範囲を越えた時に豹変する場合があるので注意してください。耳を平らにしたり、しっぽをパタパタさせたり、足であなたの手をはねのけたら「もうやめてほしい」というメッセージ。これらのしぐさをし始めたら、早めに手を放しましょう。
また、特定の場所を触ると怒る場合は痛みによる攻撃かもしれないので、獣医師に相談を。歯磨きなどは子猫の時から慣らしておくのが理想的です。
チェックしたい箇所
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- 目
- 目ヤニが多く出ていないか
確認しましょう
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- 鼻
- 鼻水が出ていないか
確認しましょう。
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- 耳
- 耳アカがたまっていないか
確認しましょう。
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- 毛
- 毛艶があるか
確認しましょう。
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- 全身
- 触って痛がる(嫌がる)
ところがないか確認しましょう。
7. 遊んであげよう!
猫は狩猟本能を刺激する遊びが大好きです。本来猫は、物陰に隠れてじっと狙いを定め、近づいてきた獲物に襲いかかって捕らえるという方法で狩りをします。
特に子猫や若くてやんちゃ盛りの猫は、この遊びが大好き。じゃらしや、ネズミを模倣したおもちゃを生きているように動かして、反応をみながら遊んであげましょう。 1頭飼いの場合は、遊び足りないと人間の手など動くものを獲物に見立てて攻撃してくることもあるので遊ぶ時間をしっかり確保してあげましょう。
もし、猫に攻撃された場合、むやみに叱ったり叩いたりすると、獲物の反撃と考え、さらに興奮して攻撃するようになるので絶対にやめましょう。
猫が好きなおもちゃ
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- じゃらし
- 止めたり急に動かすことで、猫の狩猟本能が目覚めてじゃれて遊びます。
- <関連情報>
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- 小動物を模倣したおもちゃ
- ネズミなどの小動物に見えるものは
捕まえたくなるようです。 - <関連情報>
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- またたび入りのおもちゃ
- おもちゃの中に入ったまたたびの香りに
猫が夢中になるかも。
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- 隠れたり動いたり通りぬけられるおもちゃ
- 猫は獲物を狙う時に身を潜めるので、動くものとセットで使うと楽しさが倍増するようです。
- 猫はもう1匹飼うと、
人間への攻撃性が減ります - 子猫1匹だけで室内飼育をはじめると、必ずといっていいほど飼い主の手や足に噛みついたり、引っ掻くなど攻撃をしてきます。これはハンティングをイメージした猫の遊びですが、人間にとっては迷惑な行動です。実は、若くて活発な猫には、このハンティングごっこの相手ができる別の猫が必要なのです。特に人への遊び攻撃がひどい子猫の場合は子猫をもう1匹飼うことを検討してみてください。 「1匹でも大変なのに、もう1匹飼うなんて」と思うかもしれませんが、活発な子猫は1匹より2匹の方がかえって飼いやすいこともあります。猫同士だとお互いが生き生きとハンティングごっこをするので、その姿を見ているだけでも飼い主は楽しくなるはず。
ただし、猫にも相性があります。子猫同士の組み合わせであればまず問題はありませんが、成猫になってしまうと他の猫を受け入れない場合もあるので慎重な導入が必要です。

8. 社会に慣れさせる練習をしよう
猫は本来、人や犬に比べて社会性の乏しい動物です。特に人間に対して慣れていない状態だと、逃げたり、恐怖から攻撃することもあり、動物病院へ行く時にもストレスがかかります。
猫が人間に慣れていくには子猫の時から人間にかわいがられ、なでられたり、食事をもらうなどの接触が必要です。
特に子猫の時は、感受性が高く好奇心旺盛。この時期にいろんなことを体験させてしっかり接触するよう心掛けてください。動物病院などへ連れて行くことを想定して、キャリーにも慣れさせておきましょう。
キャリーに慣れさせる方法
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- 1
- キャリーのドアを開けたままにし、普段から自由に入れる状態をつくりましょう。
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- 2
- キャリーの中に猫の好きなタオルやおもちゃ、オヤツなどを入れ様子を見ましょう。
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- 3
- 気がついたら、自分から入っている状態があるとキャリーに慣れた証拠です。
- ※猫は狭い場所を好む習性があるので、キャリーに興味を持つと、自ら入る可能性が高まります。
9.爪とぎのしつけをしよう
爪とぎは猫の正常行動です。もともとは、木の幹などで爪をとぐ習性があり、爪を整えるのと同時に自分の存在を示すマーキングの意味もあるといわれています。
この行為をやめさせることは不可能なため、猫がといでも良い「爪とぎ」を用意し、そこで行うようにしつけましょう。
いろいろな種類が市販されていますが、猫によって好みはそれぞれ。気に入るものがみつかるまで探してあげてください。一般的にはダンボールや麻などの素材が好まれるようです。新しい爪とぎは、まず猫の手の爪をこすりつけて、ニオイをつけておくと良いでしょう。
爪とぎの設置場所
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- 猫の寝ている場所の近く
- 起きてすぐに爪をとぐことが多いので、寝場所の近くが理想です。
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- 目立つところ
- 他のものに目がいくと、そちらで爪をとぐことも。猫の目につくように工夫をしましょう。
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- 猫が立って楽にとげる高さ
- 猫が爪をとぐ時は、立って行うことが多いので高さも配慮しましょう。
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- 垂直にしっかりと固定
- 木の幹をイメージできる角度と爪を立てても動かない安定感を好むようです。

10.早めに去勢・避妊のことを検討しよう
まだ子猫だと思っていたのに、気がついたら妊娠していた…という話もよくあります。生まれた子の里親が見つかればいいですが、「もらってください」などと書いて、猫を捨てるのは、100万円以下の罰金となる犯罪です。飼うことができない命を増やさないためにも、子猫のうちに去勢・避妊を検討しましょう。
オスの場合もメスの発情に影響されると、攻撃的になり、臭いスプレー(マーキング)を部屋中にまき散らす迷惑行動を起こします。また、猫自身も欲求が満たされないとストレスを感じてしまいます。去勢・避妊はメリット・デメリットを考えて、子猫のうちにしっかり検討しておきましょう。
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メスの避妊手術 メリット
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- ●望まない妊娠の防止
- ●生殖器系の病気の予防
- ●発情による興奮状態や食欲減退で悩まされることが減る
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メスの避妊手術 デメリット
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- ●繁殖に供することができなくなる
- ●手術費用がかかる
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オスの去勢手術 メリット
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- ●生殖器系の病気の予防
- ●攻撃性の低下、猫同士のケンカの減少により、感染症にかかる可能性が低くなる
- ●臭いスプレー(マーキング)で悩まされることが減る
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オスの去勢手術 デメリット
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- ●繁殖に供することができなくなる
- ●手術費用がかかる
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