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【獣医師監修】犬にささみはOK?おすすめの与え方や注意点を解説

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【獣医師監修】犬にささみはOK?おすすめの与え方や注意点を解説
低カロリーで高たんぱく、人間にとってのダイエット食としても人気の鶏のささみ。栄養バランスが良いささみを犬に与えたいという飼い主さんも少なくありません。ですが、そもそもささみは犬に与えて良い食材なのでしょうか。
ここでは、犬にささみを与える際の注意点やメリットのほか、犬のサイズごとの適正量などについて解説します。(最終更新日2022年12月21日)

目次

監修

ますだ動物クリニック院長 増田国充先生
ますだ動物クリニック
静岡県島田市向谷3-918-9
TEL 0547-33-6010

北里大学獣医学部獣医学科卒業。専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師、日本ペットマッサージ協会とペット薬膳国際協会の講師を務める。東日本大震災における被災動物レスキュー活動などにも参加。一般的な西洋医療のほか、鍼灸治療や漢方、ペットマッサージなどを通して動物の健康に取り組む。

犬にささみを与えるのはOK?

ささみは、鶏の胸肉の一部であり、高たんぱくで脂肪が少なくカロリーが低いため、人間にとってもダイエット食として非常に人気のある食材です。ささみには、犬にとって危険な成分は含まれていません。ですから、与え方や分量を正しく守れば、安心して与えられる食材であるといえます。
また、たんぱく質は犬にとっても大切な栄養素のひとつです。低脂肪・低カロリーで高たんぱく、あっさりとやわらかく食べやすいささみは、犬の毎日の食事に取り入れることで必要な栄養素を補うことができる食材です。

犬にささみを与える際の適量は?

ささみがいくら犬にとって優良な食材であるとはいっても、与えすぎてはいけません。普段から犬にドッグフードを与えているのであれば、基本的な栄養素は十分とれているはずです。なぜなら、ドッグフードはそのほとんどが総合栄養食であり、犬が1日に必要とする栄養素がきちんと含まれているからです。そのため、犬にささみを与える際はあくまでもおやつとして、あるいは、風味づけとして添える程度に与えるのがよいです。
それぞれの犬に適した量ならば、毎日与えても問題はありません。分量の目安としては、1日の食事量の10~20%以内に収めてあげるのが適切といえますが、これらはあくまで参考値に過ぎません。あくまで個々の犬のサイズや体重、健康状態によって異なるため、最初は犬の様子を伺いながら少しずつ与えてください。また、普段の食材にプラスしてささみを与えるのであれば、食事全体のカロリー調整は必要になることを忘れないようにしましょう。

犬のサイズごとのささみの目安量は下記のとおりですが、これらの量はあくまでも大まかな基準です。それぞれの犬の体重や年齢、運動量、体調により、食事自体の量やささみを与えても良い量は異なってきます。犬のコンディションをよく見て調整してみてください。

 

超小型犬(体重5kg未満)に与えるささみの適量

体重が5kg未満の犬が超小型犬に含まれます。犬種としては、チワワやトイプードル、ヨークシャーテリア、ポメラニアン、マルチーズなどです。例えば、体重4kgの超小型犬の1日の必要カロリーは、避妊・去勢済みの成犬と仮定した場合、およそ316カロリー。ささみ1本あたりのカロリーはおよそ45カロリーであるため、ささみを与えてもよい量はおよそ1.5本までとなります。

 

小型犬(体重5〜10kg)に与えるささみの適量

小型犬とは、体重が10kg未満の犬のことを指します。犬種としては、ミニチュアダックスフンド、シーズー、パグ、狆(チン)、ボストンテリアなどです。避妊・去勢済みの成犬と仮定した場合、体重5kgの小型犬の1日の食事量はおよそ374カロリーで、体重9kgの小型犬の1日の食事量はおよそ581カロリー。ささみ1本あたりのカロリーはおよそ45カロリーであるため、ささみを与えてもよい量は体重5kgの小型犬でおよそ1.5本まで、体重9kgの小型犬でおよそ2.5本までとなります。

 

中型犬(体重10〜20kg未満)に与えるささみの適量

中型犬とは、体重が10kgより重く、20kg未満の犬のことを指します。犬種としては、柴犬、ボーダーコリー、ジャーマンピンシャーやブルドッグ、日本スピッツ、ビーグル、パセンジーなどです。避妊・去勢済みの成犬と仮定した場合、体重10kgの中型犬の1日の食事量はおよそ629カロリーで、体重15kgの中型犬の1日の食事量はおよそ853カロリー。ささみ1本あたりのカロリーはおよそ45カロリーであるため、ささみを与えてもよい量は体重10kgの中型犬でおよそ2.5本まで、体重15kgの中型犬でおよそ3.5本までとなります。

 

大型犬(体重20~35kg)に与えるささみの適量

大型犬とは、体重が20kgから35kgまでの犬のことを指します。犬種としては、ラブラドールレトリーバー、ゴールデンレトリーバー、シベリアンハスキー、ダルメシアン、セントバーナード、バーニーズマウンテンドッグなどです。例えば体重25kgの大型犬の1日の食事量は、避妊・去勢済みの成犬と仮定した場合、およそ1,252カロリー。ささみ1本あたりのカロリーはおよそ45カロリーであるため、ささみを与えてもよい量は体重25kgの大型犬でおよそ5.5本までとなります。

 

超大型犬(体重35kg以上)に与えるささみの適量

超大型犬は、体重が35kg以上の犬のことを指します。犬種としては、グレードデーン、ボルゾイ、セントバーナード、ロットワイラーなどです。例えば体重35kgの中型犬の1日の食事量は、避妊・去勢済みの成犬と仮定した場合、およそ1,611カロリー。ささみ1本あたりのカロリーはおよそ45カロリーであるため、ささみを与えてもよい量は体重25kgの犬でおよそ7本までとなります。

犬にささみを与える際のおすすめの方法

犬にささみを与える際には、例えばどのような方法があるのでしょうか。ここでは、おすすめの与え方を3つご紹介します。

 

シニア犬や子犬にささみを与える場合は、ペースト状にして与える

ささみを茹でて、茹で汁ごとミキサーにかけてペースト状にします。噛む力が衰えたシニア犬や消化不良を起こしやすい子犬でも食べられる与え方です。

 

シニア犬や子犬にささみを与える場合は、様子を見ながら少量ずつ食べさせる

シニア犬や子犬は消化能力が弱いため、様子を見ながら少量のささみを食べさせるようにしましょう。
特に子犬は、まだ消化器官もたくさんの物を食べることに慣れてはいないため、消化不良を起こしやすいです。そのため、体の大きさにかかわらず、ごく少量から与えるようにしてください。その際には、食べやすく、消化しやすいよう細かく裂いてあげることも大切です。

 

食が進まない犬や食欲旺盛な犬には、ささみの茹で汁を与えると良い

ささみの茹で汁のみを犬に与えてもOKです。食欲が落ちたり、胃腸が弱っていたりして犬の食が進まないときでも、茹で汁をフードにかけてふやかしてあげると食べやすくなります。反対に、食欲旺盛な子の場合、ささみをそのまま与えすぎるとカロリーオーバーの原因となってしまうので、茹で汁だけかけて風味を楽しんでもらうようにしましょう。
茹で汁は、多めに作って製氷皿などに入れて冷凍することで、ストックもできて便利です。与えたいタイミングで解凍してあげてください。

犬にささみを与える際のおすすめレシピ

ペースト状のささみがマンネリ化してきたら、ささみを使った犬用アレンジレシピを試してみるのもいいでしょう。ここでは、おすすめのささみレシピを2つご紹介します。

 

おすすめレシピその1:手作りささみジャーキー

ささみをスライスして焼き上げるだけの手作りささみジャーキーは、簡単なおやつにぴったりです。ポイントはできるだけ薄くスライスすること。無添加ジャーキーは冷蔵庫に入れて保管し、数日から1週間程度で消費するようにしましょう。

<手順>
1. ささみを5mmから1cmくらいの厚さにスライスする

2. 必要に応じて麺棒などでさらに薄く伸ばす

3. クッキングシートの上にスライスしたささみをのせ、180℃のオーブンで15~20分程度、あるいは電子レンジ(500W・600W)で4分程加熱する

4. ささみを冷まし、適当な大きさに割ったら完成

 

おすすめレシピその2:カンタン煮るだけささみスープ

ささみのスープはそのままでも、フードにかけてもOK。いっしょに野菜と煮込んでも旨味が増します。季節ごとに野菜を変えるのも、さまざまな栄養がとれて良いでしょう。

<手順>
1. 鍋いっぱいに水を入れ、中火でささみを茹でる

2. ささみが白っぽくなりやわらかく茹で上がったら鍋から取り出す

3. 犬が食べやすいようささみを細かく裂く

4. 野菜などささみ以外の具材もいっしょに入れたい場合は細かく刻み、鍋に残ったスープに野菜を入れて煮込む(野菜はキャベツ、白菜、さつまいも、じゃがいも、にんじん、大根、ブロッコリー、かぶなど、犬が食べても大丈夫な物を選ぶ)

5. 細かくしたささみをスープに戻し、ひと煮立ちしたら完成

犬にささみを与えるメリット

犬にささみを与えるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、4つのメリットについて詳しくご紹介します。

 

 

良質なたんぱく質を摂取できる

たんぱく質は人間と同様、犬にとっても体を作り、体の調子を整えるために重要な栄養素です。筋肉を作ったり、維持したりするときには特に必要な成分であり、不足すると免疫力の低下を起こし、場合によっては皮膚疾患や下痢などを引き起こす原因にもなりかねません。
ささみには、ほかの肉類や鶏の部位よりも良質なたんぱく質が豊富に含まれています。適正な筋肉量を維持したり、被毛をきれいに保ったりするためにも、ささみは優秀な食材といえるでしょう。

 

低カロリーであるため、肥満防止に効果がある

ささみは100gあたり約98kcalであり、低カロリーな食材だといえます。脂質の含有量も100gあたり0.8gと、ほかの肉類と比較して非常に低い食材です。また、脂質や糖質の代謝を促してくれるビタミンの一種であるナイアシンも多く含まれているため、ダイエット効果も期待できます。
人間がダイエットする際にささみを重宝するのと同様に、肥満気味の犬や肥満を防止したい犬に与えることで、効果が期待できるでしょう。ただ、食べさせすぎてはせっかくの効果も無駄になってしまうため、量は適度に抑えておくことが大切です。

 

疲労回復につながる

ささみには、筋肉回復に効果のあるアミノ酸や、エネルギー代謝を高めるビタミンB群が多く含まれています。そのため、犬にささみを与えることで、疲労回復効果が期待できるでしょう。

 

抗酸化作用があるため、がん予防につながる

ささみには、抗酸化作用を持つセレンと呼ばれるミネラルが、鶏肉のほかの部位よりも多く含まれています。セレンは、かつお節やマグロの赤身などにも多く含まれるミネラルで、高い抗酸化作用のほか、免疫システムを強くする役割があります。そのため、ささみは病気から体を守ったり、がんの発生率を低下させたりする効果が期待できる食材であるといえます。

犬にささみを与えるときの注意点

ささみは、犬にとってさまざまなメリットのある食材ではあるものの、実際に与える際には知っておくべき注意点もあります。ここでは、犬にささみを与えるときの5つの注意点について見ていきましょう。

 

 

絶対に生で与えない

ささみは、絶対に生で与えてはいけません。必ず肉の中心が白く変わるまで、しっかりと火を通してから与えてください。
鶏の消化管には、カンピロバクター属菌という菌が生息しており、犬に生のまま与えてしまうと食中毒を起こし、下痢や嘔吐、腹痛などの症状を引き起こすリスクがあります。カンピロバクター菌は、65℃で数分間加熱することによりほぼ死滅しますので、しっかりと加熱することが大切です。
また、生の鶏肉をさわった手や箸などで、ほかの食品にふれないようにしましょう。

 

塩や香辛料などは使用しない

ささみを調理するときは、塩や香辛料などを使用してはいけません。人間とは違い、犬には味つけが必要ないからです。塩を加えてしまうと塩分過多となり、病気のリスクを高めてしまいます。また、調味料や香辛料には、犬にとっては危険なたまねぎやナツメグなどの成分が含まれている物もあります。人間の食事を作るときの癖で、うっかり調味料を加えてしまわないように気をつけてください。

 

リンのとりすぎに注意する

ささみには、リンというミネラルも豊富に含まれています。リンは骨を作るのに欠かせない栄養素ではありますが、とりすぎは禁物です。
リンを過剰摂取すると犬の腎臓に負担がかかり、場合によっては尿毒症や脱水症状を引き起こすことがあります。また、リンは骨を作るのに欠かせない成分ではありますが、とりすぎてしまうとかえってカルシウムの吸収を阻害してしまい、健康な骨を保てなくなってしまうこともあります。

 

鶏肉アレルギーを持っていないかをよく確認する

鶏肉に対するアレルギーを持っている犬もいます。そのため、ささみを与えるときには犬の様子をよく見ましょう。特に、最初にささみを与える際には少量ずつ与え、その都度アレルギー症状が出ていないかをくまなく観察します。
万が一、下痢や嘔吐、皮膚のかゆみなどのアレルギー症状が出た場合は、すぐに動物病院に行ってください。

 

栄養バランスが崩れてしまわないよう、あくまで適量を与える

犬の健康に良いからと、ささみばかり与えてしまってはいけません。あくまでも、ささみはおやつや補助食品です。栄養バランスが崩れてしまわないよう、主食のフードやほかの食品とのバランスをとり、適切な分量を与えてあげてください。

もも肉やむね肉を与えてもOK?

鶏肉のもも肉やむね肉、手羽先などのささみ以外の部位も、基本的には犬に食べさせてOKです。
ただし、これらの部位もささみと同様に、生で与えてはいけません。味つけもNGです。また、むね肉はささみのように脂肪分が少ないですが、もも肉は脂肪分が多くカロリーが高くなっています。与える際には、量の加減に気をつけましょう。
手羽先には骨がありますので、そのまま与えてしまうと骨がのどに刺さってしまうリスクがあります。必ず骨を取り除いて、肉だけの状態にしてから与えてください。

ペティオおすすめの犬用ささみ関連商品

ささみを手軽に与えることができる犬用食品は、ペティオにも取り揃えています。ここでは、特におすすめの商品を3点ご紹介します。

  • 素材そのまま 完全無添加 ササミスライス 70g
    「素材そのまま ササミスライス」は、国産鶏ささみを100%使用した商品です。じっくり乾燥させることで、旨味をぎゅっと凝縮させています。サクッと軽く割れる仕様になっているためスムーズに与えることができ、犬が食べやすいスライスタイプです。穀物不使用なので、穀物アレルギーのある犬にも安心して与えることができます。
  • 素材そのまま ササミ細切りソフト 140g
    「素材そのまま ササミ細切りソフト 」は、鶏ささみ本来のおいしさに加えて、旨味プラス製法を採用することにより、犬がおいしさをさらに感じられる犬用おやつ。食感がやわらかく細切りタイプになっているため、小型犬やシニア犬でも食べやすいでしょう。着色料は不使用で、国産です。
  • デリカテッセン 蒸しササミ 2本入
    「デリカテッセン 蒸しササミ 」は、鶏ささみを1本そのまま蒸すことで、風味とおいしさをじっくり閉じ込めた犬用おやつです。やわらかく、ほぐしやすいため、毎日の食事のトッピングにもぴったり。袋に入ったままの状態で湯せんにかけ、人肌程度まで温めるとさらにおいしさがアップします。保存料・着色料は不使用です。

ささみは与える量や調理方法に注意すれば、愛犬の健康を促す良質な食材となる

ささみは良質なたんぱく質を摂取できたり、肥満防止に効果があったり、がん予防にもつながったりと、犬へのメリットも多い食材です。しかし、犬に与える際には、「生の状態では与えてはいけない」「調理の際には調味料は使用しない」「リンのとりすぎにならないよう気をつける」など、注意すべき点があります。
普段の食事にささみを取り入れることで健康を保ち、犬との暮らしを楽しみましょう。

よくある質問
犬にささみQ&A

犬にささみを与えても大丈夫?
ささみは与え方や分量を正しく守れば、安心して与えられる食材であるといえます。たんぱく質は犬にとっても大切な栄養素のひとつです。低脂肪・低カロリーで高たんぱく、あっさりとやわらかく食べやすいささみは、犬の毎日の食事に取り入れることで必要な栄養素を補うことができる食材です。


犬にささみを与えるメリットとは?
犬にささみを与えるメリットは、良質なたんぱく質を摂取でき、さらに低カロリーであるため肥満防止に効果があるというメリットがあります。さらに、ささみには筋肉回復に効果のあるアミノ酸や、エネルギー代謝を高めるビタミンB群、抗酸化作用を持つセレンと呼ばれるミネラルが多く含まれており、疲労回復効果や病気から体を守ったり、がんの発生率を低下させたりする効果が期待できます。


犬にささみを与えるときの注意点とは?
ささみは、絶対に犬に生で与えてはいけません。生のまま与えてしまうと食中毒を起こし、下痢や嘔吐、腹痛などの症状を引き起こすリスクがあります。また、あくまでもささみはおやつや補助食品ですので、栄養バランスが崩れてしまわないよう、主食のフードやほかの食品とのバランスをとり、適切な分量を与えてあげてください。