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ネコちゃんの正しい飼い方は?必要な事前準備や心構えなども解説

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ネコちゃんの正しい飼い方は?必要な事前準備や心構えなども解説
はじめてネコちゃんを飼う場合、基本的に室内で暮らすネコちゃんのために環境を整えておく必要があります。ネコちゃんが安心して生活できるよう、必要なグッズをそろえると共に、フードの与え方や留守番に関することなど、基本的な情報を押さえておきましょう。

ここでは、予防接種のことや去勢・避妊手術のことなども含めて、ネコちゃんの基本的な飼い方について解説します。

目次

監修

ますだ動物クリニック院長 増田国充先生
ますだ動物クリニック
静岡県島田市向谷3-918-9

北里大学獣医学部獣医学科卒業。専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師、日本ペットマッサージ協会とペット薬膳国際協会の講師を務める。東日本大震災における被災動物レスキュー活動などにも参加。一般的な西洋医療のほか、鍼灸治療や漢方、ペットマッサージなどを通して動物の健康に取り組む。

ネコちゃんを迎える上での心構え

ネコちゃんは健康で安全な環境においては、他の動物より比較的長く生きる動物で、中には20年前後生きる長寿の猫種もいます。そのため、ネコちゃんを飼う上では、一生をかけて面倒をみる覚悟が必要です。
食事はもちろん、排泄物の処理、安全管理、病気の予防、避妊・去勢など、ネコちゃんを飼う上で必要となるすべてが、飼い主さんの責任となります。ネコちゃんとの暮らしはとても素敵なものですが、安易な気持ちで飼い始めると悲劇が起きてしまう場合があります。飼う前にペットの情報サイトや本で情報を集めて、問題がないか検討することが大切です。

また、ネコちゃんを飼うためには、ネコちゃんに適した環境や状況が必要となるため、場合によってはネコちゃんを飼うことが難しいこともあります。ネコちゃんを飼えなくなるケースの具体例は、下記のとおりです。

<ネコちゃんを飼えなくなる主なケース>
・転勤の際に引越し先がペット禁止だった場合
・家族に猫アレルギーが出た場合
・近所から苦情が入った場合
・ペット禁止の集合住宅の場合
・子猫が多く生まれたものの全頭育てることが不可能な場合

ネコちゃんに出会う方法は?

ネコちゃんと出会う方法は、さまざまです。
もしネコちゃんを購入する場合は、動物取り扱い業の登録をしているショップで、かつきちんと動物に配慮した管理をしているショップから購入するようにしましょう。

<ネコちゃんの主な入手先と注意点>
・ペットショップ
早い時期に親猫や兄弟猫から引き離されている場合や長期間展示されている子猫は、社会経験が不足している場合もあります。スタッフに飼育期間や飼育環境などを確認し、ワクチン接種など病気予防や健康管理も万全なショップを選びましょう。

・ブリーダー
子猫の健康に気遣い愛情を持って接しているのはもちろん、食事とトイレの場所が区別された清潔な環境であり、親猫や兄弟猫、さまざまな人間とも接触する機会が多いところを選びましょう。さらに、親猫の性格がよく病気予防など健康管理も万全なところがオススメです。なかには劣悪な環境で飼育する営利目的で大量生産タイプのブリーダーもいるので注意が必要です。

・動物愛護施設
動物愛護施設では、スタッフがあなたのライフスタイルや生活環境に合うネコちゃんをアドバイスしてくれます。またネコちゃんの譲渡の際には、去勢・避妊やしつけ講習会参加などの条件が伴う場合が少なくありません。ネコちゃんによっては精神的に不安定な場合や保護生活が長いと新しい環境に慣れにくい面などもあるため、十分に注意しましょう。

・里親募集
里親募集を通じてネコちゃんを迎え入れる場合、個人レベルのやりとりが中心になるため、譲渡条件などを最初に確認してトラブルがないようにしましょう。提示されている内容だけでなく、実際の子猫を自分の目で見て、飼育環境や飼育状態など納得できるかどうか判断することが大切です。

・捨て猫
捨て猫を拾った場合、病気などに感染しているネコちゃんも多いため、まずは動物病院で健康診断を受けましょう。

ネコちゃんを迎え入れる際の注意点

ネコちゃんを迎え入れる際には、主にどのようなことに注意すればよいのでしょうか。ここでは、ネコちゃんを迎え入れる際の主な2つの注意点についてそれぞれご紹介します。

 

ライフスタイルにあった猫種かどうかを確認しておく

ネコちゃんを迎え入れる際は、飼い主さんのライフスタイルに合った猫種かどうかをあらかじめ確認しておきましょう。
例えば、運動量が多く活発なタイプ、おっとりしたマイペースタイプ、友好的で人懐こいタイプなど、猫種によって異なる特性を持っています。そのため、しつけや遊びに割ける時間を踏まえて、無理なく飼える猫種を選ぶことが大切です。

また、長毛種か短毛種かも重要なポイントです。長毛種は見た目が優雅で気品がありますが、長い被毛は放っておくとすぐ絡まり、抜け毛も目立ちます。毛づくろいの際に飲み込む毛玉を減らすためにも、頻繁にブラッシングをする必要があります。
さらには長毛種の場合、フードの食べこぼしや水、排泄物などが毛につきやすいことにも注意が必要です。小まめに拭き取ったり、部分的に被毛をカットしたりする時間が取れるかどうかも冷静に検討しておくことが大切です。

 

ネコちゃんに合った飼育環境を用意できるかを検討しておく

ネコちゃんにとって安全・安心な環境を用意できるかどうかも、あらかじめ検討しておきましょう。
昔は放し飼いが多く見られましたが、外の生活は交通事故や伝染病、拾い食いなどによる誤飲や中毒といった危険が多いため、近年は室内飼いが基本です。活発なネコちゃんだけでなく、どのネコちゃんもある程度の運動が必要なため、飼い主さんの家の中にネコちゃんが十分に動き回れる広さがあるかどうかを確認してください。また、留守番のときや目を離したときの脱走や事故を未然に防げるよう、ケージを設置できるスペースも必要です。

ネコちゃんを迎える際の準備は?

ネコちゃんが快適に暮らせる環境を整えれば、室内だけでも心地よく暮らせます。ネコちゃんを迎える前に必要なグッズを用意し、高さのある遊び場や隠れ家的なスペースなど、ネコちゃんの特性にあった環境を整えておきましょう。
ここでは、ネコちゃんを迎える際に準備すべきグッズとお部屋の整え方についてそれぞれ説明します。

 

準備しておきたいグッズ

ネコちゃんを迎える前に、あらかじめ必要なグッズを用意しなければなりません。最低限用意すべきグッズは、下記のとおりです。

・ベッド
猫が安心して寝たり、くつろげそうなスペースにベッドを用意しましょう。日当たりのよい場所や外を見るのを楽しいと感じる猫が多いので、窓辺に設置するのもおすすめです。

・トイレ用品
猫用のトイレと猫砂を用意してください。多頭飼いの場合、「ネコちゃんの頭数+1」個、用意しておきましょう。これは、トイレを余分に用意することによって、他のネコちゃんと同じトイレを使うのを嫌がる子が排泄を我慢したり、粗相をしてしまったりすることを防ぐためです。また、猫によってトイレや砂の好みがあるので、最初はさまざまなものを試してみるのがオススメです。

・高いところで休めるスペース
上下運動ができるキャットタワーや高さのあるケージやサークルがあると、室内飼いによる運動不足の解消に有効です。また、猫には「外敵から身を守る」習性があり、部屋を見渡せる高い場所を好む特徴があります。

・ひとりになれるスペース
ひとりになれるスペースを作ってあげることで、そのスペースでネコちゃんが気持ちを落ち着かせたり、怖いものから逃げたりすることができます。例えば、棚の下段やベッド下の一角など狭い場所を開放する・部屋の隅に猫が大好きな段ボールを置くなどの工夫をして、ネコちゃん専用のスペースを作ってあげましょう。

・おもちゃ
飼い主が一緒に遊んであげられる”じゃらし”や、一匹でも遊べる知育玩具など、いろいろな種類の猫用おもちゃを用意しましょう。遊ぶときはある程度のスペースを確保してケガをしないように注意してください。

・爪とぎ
家具や壁などが傷つかないためにも爪とぎを用意しましょう。爪をとぐということはお手入れだけでなく、匂いや傷をつけるマーキング、ストレスを軽減する行動でもあります。

・フード類
毎日与えるフードと一緒に、フード用の食器と清潔な水を入れられる器を用意しておきましょう。「猫の草」も合わせて用意してあげるのもオススメです。おやつは対象年齢のものを用意し、食べすぎないように注意が必要です。

・キャリーバッグ
わが家に連れてくる時や動物病院へ行く時に使用します。「病院など苦手な場所に行く時に入るもの」と思ってしまうと、キャリーバッグを見ると逃げるようになってしまうことがあります。おやつをあげる場所にするなど、嫌いにならない工夫をしましょう。

・お手入れ用品
ネコちゃんはセルフグルーミングをしますが、時々グルーミングの際に飲み込んだ毛玉が消化器官に残って吐き気や胃腸の不調につながる毛球症を引き起こすことがあります。汚れを取り切れない場所から皮膚炎になることもあるため、ブラシやコームといった基本的なお手入れ用品は用意しておきましょう。

・ケージ
留守番やネコちゃんが苦手な人の来訪に備えて、ケージを用意しましょう。物珍しさから興奮して走り回りがちなネコちゃんを休ませたいときにも、区切られたスペースがあると便利です。

・首輪
万が一、迷子になったときや災害時の目印として役立つのが首輪です。首輪を嫌がるネコちゃんも多いですが、小猫のうちなら慣れやすいため、お迎えしたタイミングでつけるようにすると良いでしょう。幅は1cmくらいで、デザイン性よりも安全性を重視したシンプルな物がオススメです。

 

ネコちゃんのためのお部屋の整え方

好奇心旺盛なネコちゃんは思いがけない物で遊んだり、かじったりするため、あらかじめネコちゃんの目線で室内を整理しておくことが大切です。
まず、猫のやわらかい肉球を傷つけてしまう可能性のある尖ったもの、誤飲しがちな糸くずやビニール、ほこりなどはあらかじめ取り除いておきましょう。じゃれついてかじることが多く、感電の危険があるコード類はカバーをかけておくことをオススメします。

特に子猫の場合、好奇心旺盛でとても身軽であるため、走り回ったり、ジャンプしたり、いろんなところに登ったりします。そのため、事前に壊れやすいものは片付け、倒れやすいものは固定するなど、事故のないように対策をとっておくことが大切です。落として割れると困る大切な物はネコちゃんの手が届かないところにしまう、傷つけられたくないお気に入りの家具や本、洋服などは別の部屋にしまうといった対策も必要です。

また、ネコちゃんの爪とぎの習性にも配慮しておく必要があります。用意しておいた市販の爪とぎがあっても、なぜか別の物や別の場所で爪をとぐネコちゃんは少なくありません。中でも、椅子やソファの足、壁紙、ドアなどで爪をとぐ子は、少なくありません。そのため、爪とぎを複数用意しておく・爪とぎをしてほしくない場所には保護シートを張っておくなどの事前対策をしておくのがオススメです。

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室内飼いのコツ

ネコちゃんが毛づくろいをするのはなぜ?

ネコちゃんは、1日の多くの時間を毛づくろい(グルーミング)に費やします。ネコちゃんはなぜ、そこまで多くの時間を毛づくろいに費やすのでしょうか。ここでは、ネコちゃんが毛づくろいを行う主な3つの理由についてそれぞれ説明します。

 

健康維持

ネコちゃんが毛づくろいを行う最大の目的は、健康維持のためです。ざらざらとした舌で毛をなめることによって汚れや毛のもつれを取り除き、皮膚病やノミなどから身を守っています。また、暑い季節においては、毛づくろいを行うことによって唾液で毛が濡れ、唾液の水分が蒸発することで体温を下げる効果あります。

 

ストレス緩和

見知らぬ人が来たり、家具から家具へと飛び移ろうとして失敗したりしたときに行う毛づくろいは、ストレス緩和の効果があります。こういったときに行う毛づくろいのことを、「転移行動」といいます。

 

愛情表現

同時期に同じ家庭内で育ったネコちゃん同士がお互いになめ合うのは、相手への信愛の情を示す行動です。
先住のネコちゃんが新入りの猫のグルーミングを始めたら、相手を受け入れたサインだと考えて良いはずです。
なお、親であるネコちゃんが子どもをグルーミングしている場合は、汚れをとって排泄を促す意味もあります。

もし、あまりにも過剰に毛づくろいをするようなら、何らかの不調を抱えているか、緊張や不安による強いストレスを感じている可能性があります。一時的であれば過度に心配する必要はありませんが、長引く場合は皮膚炎などを起こすことも多いため、早めに動物病院へ連れていきましょう。

ネコちゃんに留守番させるには?

ネコちゃんは、単独行動を好む動物です。そのため、健康な成猫なら1日程度の留守番は可能です。ただし、留守番中のネコちゃんを危険から守る工夫は必要不可欠です。

特に大切なのは、温度管理です。ネコちゃんは自分にとって心地よい場所を探すのが得意ですが、締め切った室内では逃げ場が限られるため、エアコンを使って快適な室温に調整してから出掛けましょう。エアコンにタイマーをセットしてしまうと、万が一帰りが遅くなったときのリスクが高いため、長時間留守にするときはエアコンをつけっぱなしにするのがオススメです。
また、ネコちゃんは好奇心が強く、ふれてほしくないものや危険な場所に近づく傾向があります。仕事や通学の間に留守番をさせる時間が長いときは、いたずらを防止する環境をつくることも留守番中のネコちゃんを守ることにつながります。そのため、さわったり、口に入れたりしてほしくない物は事前に片付けておくことが大切です。
まだお留守番に慣れないネコちゃんの場合、ケージに入れて一緒に出掛けてしまうのも有効ですが、狭い場所で長時間動きを制限してしまうと、ネコちゃんは大きなストレスを感じてしまいます。ネコちゃんと一緒にお出掛けする場合、できるだけ短い時間で帰宅するか、上下運動ができる高さのあるケージを選ぶようにしてください。

ごはんの与え方のポイント

生後3週間くらいまでは、ネコちゃん用のミルクを1日8回、2時間から4時間おきに飲ませてください。また、乳歯が生え始めたら少しずつやわらかいフードへとシフトします。子猫用のウェットフード、もしくはドライフードをお湯でふやかしたものを1日6回、3時間から6時間おきに与えましょう。

乳歯が生えそろったら、「総合栄養食」の記載があるフードを、月齢・年齢に合わせて与えてください。ネコちゃんの中には、食事を数回に分けて食べたり、偏食ぎみで好きなものばかり食べたがったりする子もいます。食事の量や内容が偏ると健康に影響を与えますが、総合栄養食は1食分にバランスよく必要な栄養素が含まれているため、安心です。

また、日頃の食事で補いきれない栄養素は、おやつで補う方法もあります。与え方や量には注意が必要ですが、コミュニケーションの一環にもなるため、補助的に使うのがオススメです。

なお、人の食べ物を安易に与えるのは危険です。ここでは、ネコちゃんに与えてはいけない食べ物と注意が必要な食べ物について、それぞれご紹介します。

<与えてはいけない主な食べ物>
・ネギ類
・チョコレート
・生のタコ、イカ、エビ
・貝類
・アルコール類
・香辛料

万が一、これらの食べ物をネコちゃんが食べてしまった場合、食中毒やアレルギー症状が発生し、重症化すると死に至る危険もあります。そのため、愛猫が絶対に口にしないよう、これらの食べ物は絶対にネコちゃんの近くに置かないようにしてください。

<注意が必要な食べ物>
・卵(生卵はサルモネラ菌による食中毒の危険があるため、加熱して与える)
・牛乳、ヨーグルトなど乳製品(消化の面やカロリーの面から、無糖・低脂肪、無脂肪の物を少量にする)
・生野菜(消化不良を起こしやすいので、加熱が基本)

避妊・去勢手術は必要?

まだ子猫だと思っていたのに、気がついたら妊娠していた…という話もよくあります。生まれた子の里親が見つかればいいですが、「もらってください」などと書いて、猫を捨てるのは、100万円以下の罰金となる犯罪です。飼うことができない命を増やさないためにも、子猫のうちに去勢・避妊を検討しましょう。

ネコちゃんの避妊・去勢手術を行うかどうかは、メリット・デメリットを踏まえて判断する必要があります。
具体的なメリット・デメリットは、下記のとおりです。

■メスのネコちゃんの避妊手術のメリット・デメリット

メリット デメリット
・望まない妊娠の防止
・生殖器系の病気やホルモンに関連する病気の予防
・発情期に起こる問題行動や食欲減退で悩まされることが減る
・繁殖行動ができなくなる
・手術費用がかかる
・手術時の全身麻酔による身体への負担がかかる

■オスのネコちゃんの去勢手術のメリット・デメリット

メリット デメリット
・生殖器系の病気やホルモンに関連する病気の予防
・攻撃性の低下、ネコちゃん同士のケンカの減少により、感染症にかかる可能性が低くなる
・臭いスプレー(マーキング)で悩まされることが減る
・繁殖行動ができなくなる
・手術費用がかかる
・手術時の全身麻酔による身体への負担がかかる

そのため、飼い主さんは、ネコちゃんにどのように過ごしてほしいか、どうすれば一緒に幸せな生活が送れるかをよく考えた上で、手術の有無を決める必要があります。
去勢や避妊の手術をする場合は、生後6ヵ月頃、初めての発情期を迎える前に行うのが一般的です。

ワクチン接種は必要?

ネコちゃんを飼うときは、まず動物病院で健康診断をして全身のチェックをし、かかりやすい感染症を予防するワクチンを接種する必要があります。室内飼いのネコちゃんは屋外で暮らすネコちゃんに比べて感染症のリスクは低いものの、人を介して感染する可能性はゼロではありません。そのため、完全室内飼いであっても、かかりやすい感染症のワクチンは接種するのがオススメです。また、ノミ・ダニなどの予防も獣医師に相談して、きちんと対策をとっておきましょう。

動物病院によって多少異なりますが、生後8週間頃に1回、生後12週間頃に1回、それ以降は年に1回のペースで混合ワクチンを接種するのが一般的です。かかりつけの獣医師と相談の上、適切なタイミングで行うことが大切です。

ワクチン接種によって、予防できる主な病気は下記のとおりです。

・猫ウイルス性鼻気管支炎
猫のインフルエンザとも言われる鼻水などの出る感染症。子猫が感染すると致命傷になることもあります。

・猫カリシウイルス感染症
くしゃみ・鼻水、せき、発熱などの症状があり、猫風邪と呼ばれる感染症の一種。子猫が感染すると致命傷になることもあります。

・猫汎白血球減少症(ねこはんはっけっきゅうげんしょうしょう)
血液中の白血球が極端に減少する、死亡率の高いウイルスによる病気です。

ネコちゃんを飼うためにかかる費用は?

ネコちゃんは命ある生き物であるため、飼うとなるとさまざまな費用がかかります。
一般社団法人ペットフード協会「令和4年 全国犬猫飼育実態調査」によると、ネコちゃんの一生にかかる費用は平均264万6,956円といわれています。
この調査をもとに、ここでは、ネコちゃんを飼う上で具体的にかかる費用について、ひとつずつみていきましょう。

 

初期費用

ネコちゃんを迎える際には、生体購入にかかる費用以外にも、さまざまな費用がかかります。
初期費用として最初にかかる主な費用は、下記のとおりです。

・ネコちゃんの生体購入費
ネコちゃんをペットショップやブリーダーから、保護猫団体などから譲り受けた場合に発生する費用のことです。ペットショップやブリーダーから購入した場合の平均費用は18万5,201円、保護猫団体や保健所、知人などから譲渡された場合にかかる平均費用は4,086円といわれています。

・各種飼育グッズ代
ベッド、トイレ用品、おもちゃ、爪とぎ、お手入れ用品、ケージ、首輪、キャリーバッグ、フード用の食器類やタワーなどの飼育グッズの購入費用のことです。ネコちゃんを飼い始める際には、これらの購入費用として平均2万円ほどかかるといわれています。

・避妊&去勢手術費
ネコちゃんの避妊や去勢の手術をする場合の費用のことです。手術費用として約2万円がかかります。

 

日常的にかかる費用

ネコちゃんと一緒に暮らす上で日常的にかかる主な費用と各費用の平均金額は、下記のとおりです。

■日常的にかかる主な費用の平均金額

費用の種類 ひと月あたりの平均費用 生涯でかかる平均費用
食費 3,515円 64万4,885円
トイレまわりにかかる費用
(例:猫砂、消臭シートなど)
1,970円 36万936円
消耗品にかかる費用
(例:お手入れ用品、おもちゃなど)
1,239円 22万4,627円

ただし、ネコちゃんによっては、特定の食べ物しか食べなかったり、お気に入りの猫砂でしか排泄しなかったりするため、実際は上記の金額以上の費用がかかるケースもあります。

 

エアコン代

夏の暑い時期や冬の寒い時期においては、ネコちゃんが室内で快適に過ごすことができるよう、エアコンを使う必要があります。
このとき、冷房にかかる費用は一生で平均26万2,038円、暖房にかかつ費用は一生で39万3,363円といわれています。
室温が高すぎると猫の健康に大きな影響を及ぼしてしまい、逆に冷やしすぎも良くありません。そのため、ネコちゃんの様子を見ながら最適な温度を探り、正しくエアコンを利用してください。

 

医療費

ネコちゃんが病気やケガをした場合には、医療費が発生します。
医療費の平均金額は、生涯で46万8,419円といわれています。しかし、ネコちゃんの健康状態はかなり個体差があるため、この金額はすべてのネコちゃんの目安ではない点に注意が必要です。

また、ネコちゃんを病気から身を守るためには、年に一回のワクチン接種や健康診断も受けなければなりません。
ワクチン接種の費用は、一回あたりおおよそ6,000円かかり、生涯かかる平均金額は6万7,856円かかるといわれています。また、健康診断は一回あたり1万円程度に収まることが多く、生涯かかる平均金額は11万2,746円かかるといわれています。生涯でみるとそれなりの金額にはなりますが、病気の早期発見につながると考えれば納得できる金額といえるでしょう。

マイクロチップ装着義務化とは?

2022年6月1日から、ブリーダーやペットショップで販売されるネコちゃんやワンちゃんにはマイクロチップを装着することが義務化されました。マイクロチップには15桁の数字が登録されており、専用の機械で読み込むことによってネコちゃんやワンちゃんの情報を照会できる仕組みです。
この仕組みによって、迷子になったり、災害ではぐれたりしても、マイクロチップがあれば、ネコちゃんを見つけ出しやすくなりました。また、マイクロチップは体内に埋め込むことによって半永久的に使用できるため、首輪のように外れる心配もありません。これにより、飼い主さんの飼育放棄を抑制する効果もあるといわれています。

ペットショップなどでネコちゃんを購入したら、すでに装着されているマイクロチップの情報を飼い主さんのものに変更する作業が必要となります。マイクロチップの登録や変更登録などは、環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録」、もしくは専用のコールセンターから行ってください。

ネコちゃんを飼うことで、飼い主さんの生活はどう変わる?

ネコちゃんを飼うことには、責任が伴います。ただ「かわいい」「癒される」だけではなく、ひとつの命を預かる自覚を持って暮らさなくてはなりません。生活が変わることも覚悟して飼うことが非常に重要です。
ここでは、ネコちゃんを飼うことによる主な2つの生活の変化について、説明します。

 

長期間の外出ができない

ネコちゃんを飼うと、旅行や出張などの長期のお出掛けができなくなります。
ネコちゃんは、ワンちゃんに比べると留守番が得意な動物ですが、長期の留守番はストレスになりやすく、特に子猫のうちは命にかかわる可能性もあります。変化を嫌う性質もあるため、一緒に旅行に行くのも難しいでしょう。
そのため、ネコちゃんを飼った後はお出掛けの日数を短くするか、出掛ける際にペットホテルやペットシッターにネコちゃんを預ける必要があります。

 

部屋のレイアウトを自分好みにできない

ネコちゃんを飼い始めた場合、部屋のレイアウトも、ネコちゃんの生活を第一に考えた仕様にしなければなりません。
ネコちゃんは機敏な動物であるため、部屋の中のありとあらゆる高い場所や狭い場所に入ります。また、予想外の動きも多いため、こだわりのインテリアなどが落ちて壊れたり、お気に入りのソファが破かれたりするほか、服が毛だらけになるといった事態は避けられません。結果として、ネコちゃんにとっての安全、安心を第一に考えてレイアウトを構成することになり、自分好みの部屋からは離れてしまう場合があります。

 

日頃のさまざまなお世話が必要になる

ネコちゃんと一緒に生活する場合、ごはん、トイレのお世話、抜け毛ケア、お風呂など、ネコちゃんへのさまざまなお世話が必要になります。そのため、基本はネコちゃん優先の生活になることを覚悟しておきましょう。

もし、仕事の都合などによって、どうしてもネコちゃんのお世話が疎かになってしまいそうな場合は、親族や友人などの信頼できる人に代わりにしてもらうか、もしくはペットシッターに預けるなどの対応が必要です。

ポイントを押さえて準備を進め、ネコちゃんを迎えよう

ネコちゃんを飼うことには、環境の整備やコスト、費用など、大変な面もあります。しかし、ネコちゃんを飼うことによって得られる幸せは、それ以上に大きいものです。
本記事を参考に経済面や生活への影響を十分に検討した上で、ネコちゃんを迎え入れましょう。

よくある質問
ネコちゃんの飼い方Q&A

ネコちゃんを迎える前に必要な心構えとは?
ネコちゃんは健康で安全な環境においては、他の動物に比べると長く生きる動物で、なかには20年前後生きる長寿のネコちゃんもいるため、飼うには一生の面倒をみる覚悟が必要になります。食事はもちろん、排泄物の処理、安全管理、病気の予防、避妊・去勢など、すべてが命を預かる飼い主さんの責任です。
また、部屋の事前準備も重要です。ネコちゃんのやわらかい肉球が傷つく可能性がある尖ったもの、誤飲しがちな糸くずやビニール、ほこりなどを取り除き、コード類にはカバーをかけておきましょう。


ネコちゃんを飼えなくなる主なケースとは?
ネコちゃんを飼えなくなる主なケースとして、下記が挙げられます。
・引越し先がペット禁止である場合
・家族に猫アレルギーが出てしまった場合
・近所から苦情がきて対策がとれない場合
・ペット禁止の集合住宅で飼っていることがバレてしまった場合
・たくさん生まれたものの、全頭育てることができない場合


ネコちゃんに出会う方法(主な入手先)とは?
新しい家族となるネコちゃんと出会うには、ペットショップやブリーダーから購入したり、動物愛護施設や里親募集により譲り受けたりするほか、捨てられたネコちゃんを保護するといった方法があります。


ネコちゃんを選ぶときの注意点とは?
ネコちゃんを選ぶ際には、室内飼いができる環境かどうか、必要な運動やグルーミングを行う時間が持てるのかどうか、健康状態が悪いときに治療を受けさせられるかどうか、といった点について事前に考えておく必要があります。


留守番はどれくらいできる?
ネコちゃんは、ワンちゃんよりも留守番が得意な動物で、大人のネコちゃんなら1日程度は問題ありません。いたずらをしないよう環境を整え、温度管理をしっかりして出掛けましょう。長期のお出掛けの際には、ペットホテルなどの利用をおすすめします。


フードの与え方のポイントは?
生後3週間くらいまではネコちゃん用のミルクを1日8回、2時間から4時間おきに飲ませ、乳歯が生え始めたら少しずつやわらかいフードを与えます。乳歯が生えそろったら、「総合栄養食」の記載があるフードを、月齢、年齢に合わせて与えてください。


避妊・去勢手術は必要?
避妊・去勢手術には、望まない妊娠を防ぐほか病気の予防、発情行動の抑制などの効果があります。太りやすくなったり、全身麻酔が必要になったりするなどのデメリットを踏まえて、ネコちゃんにとって最善の選択をしましょう。


猫を迎える前に準備したい環境やグッズとは?
ネコちゃんを迎える前に準備したい環境やグッズとして、ベッド、トイレ用品、お手入れ用品、ケージやサークル、首輪、タワーなど高いところや一人になれるスペース、爪とぎ、キャリーケースなどを用意することをオススメします。
ネコちゃんにとって危険な物は片付けておくこと、爪とぎをされたくない家具や柱には爪とぎ防止のシートやスプレーをしておくことも忘れずに。