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【獣医師監修】猫がこたつに惹かれるのはなぜ?注意点などを解説

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【獣医師監修】猫がこたつに惹かれるのはなぜ?注意点などを解説
日本の冬といえば、童謡にもあるようにこたつで丸くなる猫のイメージが付き物です。生活様式が洋風になるにつれ、こたつを見かけることは減ってきているようですが、やはり、猫がこたつにもぐり込んで眠っている姿は幸せそのもの。
猫は、どうしてこたつに惹かれるのでしょうか。猫がこたつを好む理由やこたつに入っているときの注意点のほか、近頃注目されている猫用こたつについて解説します。(最終更新日2023年12月19日)

目次

監修

ますだ動物クリニック院長 増田国充先生
ますだ動物クリニック
静岡県島田市向谷3-918-9
TEL 0547-33-6010

北里大学獣医学部獣医学科卒業。専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師、日本ペットマッサージ協会とペット薬膳国際協会の講師を務める。東日本大震災における被災動物レスキュー活動などにも参加。一般的な西洋医療のほか、鍼灸治療や漢方、ペットマッサージなどを通して動物の健康に取り組む。

猫がこたつに惹かれる2つの理由

猫がこたつに入りたがるのには、いったいどのような理由があるのでしょうか。ここでは、代表的な2つの理由をご紹介します。

 

 

鼻で温度の変化を敏感に感知できるから

猫は寒がりのイメージが強いですが、体温調節の面で考えると、実は暑さのほうが天敵といえます。
人間であれば全身から汗をかいて体温調節を行うことができますが、猫が汗をかくのは足裏の肉球と鼻だけです。そのため、暑くても汗をかいて体温を下げる機能が十分ではないのです。また、猫は基本的に鼻で呼吸をするもの。犬のようにハアハアと舌を出して呼吸して、体温調節することもほとんどありません(開口呼吸で体温調節することは稀にあるものの、相当な興奮時あるいは極度の体温上昇といった状態に至った場合にのみ生じます)。

そこで、体温調節のためにポイントとなるのが鼻です。猫は、鼻から吸った空気の温度を鼻の中で感知する動物です。それは、1℃以下の差もわかるほど非常に高い精度であるといわれています。
この敏感な鼻により、暑さ寒さを感じ取り、暑ければ涼しい場所へ寒ければ暖かい場所へとすぐに移動して体温調節を行います。
猫は、この温度を敏感に感じ取る鼻の能力から、こたつの暖かさをいち早く感じてもぐり込んでいくのです。

 

狭くて暗い場所が好きだから

かつて猫が自然界で暮らしていた頃、猫といえば、待ち伏せしては獲物を捕まえる狩りの名人でした。現在、多くの家庭で飼われている猫たちにも、暗闇に身を潜めて獲物を狙ったり、天敵に見つからないように隠れたりという本能が残っています。そのため、暗くて狭いところというのは、猫が非常に好む場所なのです。

つまり、こたつは「暖かい」「暗い」「狭い」という猫の本能や特徴が求めるものを3つも兼ね備えた、猫にとって非常に快適な空間というわけです。

猫がこたつで丸くなるのはなぜ?

猫はなぜ、こたつに入って体を丸くするのでしょうか?その理由を2つ、ご紹介します。

 

自分の身を守るため

猫は、獲物を捕らえるための瞬発力が抜群である反面、持久力はあまりありません。これは、今ペットとしてかわいがられる猫に限らず、同じネコ科のライオンやチーターも同様です。
そのため、獲物を狙うときや外敵から身を隠すときには、狭い場所を好みます。また、かつては身を守るために、砂漠で穴を掘ってその中にぴったり丸まって寝ていたともいわれています。
こたつの中という狭い場所で丸くなっているのは、その頃の本能からなのでしょう。

 

寒さをしのぐため

猫は丸まることにより、寒さを最小限にしようとする動物です。手足を縮めて小さく丸くなることで表面積を少なくし、熱の拡散を防いで寒さをしのいでいるそう。
ただし最近では、そばに人間やほかの猫がいないときには、こたつの中で安心しきって、丸くなることなく長くのびのびとなって寝ている子もいるようです。

猫がこたつに入っている際に注意すべきこと

猫がこたつに入っているのは微笑ましい光景ではあるものの、放っておくと危険な状況になるリスクもあります。猫がこたつに入っている際に注意すべきことについて、ひとつずつ詳しく説明します。

 

 

低温やけど

一般的なやけどは、高温の熱源に直接ふれることで皮膚の表面を損傷するもの。対して、低温やけどはふれても熱くない程度、自分の体温よりもやや高温の物に長時間あたることにより起こります。人間の場合は、カイロや電気毛布などで引き起こされることがよくあります。

やけどをすると、皮膚の内部の脂肪が時間をかけて熱せられ、組織が損傷してしまいます。初期の段階では痛みがないため、猫が気づかないうちに症状が進み、ひどくなると水ぶくれができて深い部分にまで熱傷が達してしまうことも。そうなってしまうと、治るまでにはかなりの時間がかかってしまうでしょう。
こたつによく入っている猫がずっと体を舐めていたり、皮膚が赤くなったりしていたら低温やけどを起こしている危険性がありますので注意してあげてください。

 

一酸化炭素中毒

練炭や豆炭を使用した昔ながらのこたつは、内部で一酸化炭素が発生します。苦しくなると猫もこたつの外に出てきますが、そのまま入りっぱなしで長時間一酸化炭素を吸い続けていると、一酸化炭素中毒を起こしてしまいます。いったん、中毒を起こしてしまうと猫は自力でこたつから出てこられなくなり、命に関わってしまうことも…。
一酸化炭素は無色・無臭の気体のため、気づきにくいものです。人間のこたつに猫も入ってくるのであれば、できれば電気こたつを使用することをおすすめします。

 

脱水症

猫の祖先といわれるリビアヤマネコは、水の乏しい砂漠で暮らしていたこともあり、その名残から、猫は比較的水を飲むことが少ない動物です。猫は一度こたつの中に入ると、長時間そこから出ようとしません。そこで心配なのが、脱水症のリスクです。

脱水症を起こしていないかどうかを確認するには、首の後ろや背中を軽くつまんでみてください。すぐに戻れば問題ありませんが、もし1~2秒以上かかってもなかなか戻らないのであれば、脱水症を起こしている疑いがあります。このとき、口の中が乾いていないかも見てあげるのがいいでしょう。
様子がおかしいようであれば、こたつから出して日のあたらない涼しい場所に移動させ、保冷剤で首や脇を冷やす、濡れたタオルで体をくるんであげる、水を飲ませるなどの処置をしてください。

子猫やシニア猫、持病のある猫がこたつに入るときには特に注意が必要です。子猫や高齢の猫は体温調節機能が低く、脱水症を起こしやすいもの。腎臓や尿路に疾患のある猫に至っては、脱水症状から病状を悪化させてしまう危険性もあります。
また、脱水症だけでなく、心臓病や呼吸器系の持病のある猫も、体が熱くなりすぎることから症状が重くなることも考えられるため、こたつに入れることは極力避けてください。

赤外線

人間は足元を入れるだけのこたつですが、猫は全身すっぽり中に入ってしまいます。こたつを温める赤外線は、猫の目にとっては良くないものといわれています。
猫がこたつの中にいると、長時間赤外線を全身で浴び続けることとなり、白内障や失明のリスクが高まってしまうため、注意が必要です。

 

電気こたつのコード

長い物にじゃれつく習性のある猫たちにとって、こたつのコードも例外ではありません。通電中のコードを噛んだり引っかいたりすると感電ややけどをしてしまう危険があります。
また、コードが傷ついていると、それが火災の原因になることもあります。そのため、コードは極力、猫の近くには置かないようにするなど、十分な注意が必要です。

猫がこたつを安全に使用するためには?

こたつによる猫の事故を防ぐためには、できることなら猫用こたつを使用するのがベストです。しかし、やむをえず人間用のこたつを使う場合は、次のようなことに注意しましょう。

 

 

電気こたつを使用する

練炭や豆炭を熱源とするこたつは、一酸化炭素中毒のリスクを伴います。猫もいっしょに入るのであれば、電気こたつを使用するようにしましょう。

 

温度設定を弱にする

こたつの内部が高温になりすぎないよう、温度設定は常に「弱」にしておくようにしましょう。
布団に覆われたこたつの内部は体温でも温まるため、状況によってはスイッチを切ってしまってもOKです。

こたつ布団の一角を開けて猫の出入口にしておく

猫が出入りしやすいよう、こたつ布団の一部を少し開け、猫の通り道を作ってあげましょう。こたつ布団を少し開けておくだけで、空気の通りが若干良くなります。
また、汚れた空気や熱がこもらないよう、定期的なこたつ内部の空気の入れ替えも必須です。

 

人間が入る場合は、猫のいる場所を確認してから入る

人間がこたつに入る場合は、事前に猫のいる場所をしっかり確認してから入るようにしましょう。そうすることで、猫がケガをしてしまうリスクがグッと下がります。

 

コードには安全カバーを巻く

コードの破損による感電や事故は怖いものです。そのため、電気こたつのコードには安全カバーを正しく巻き、猫がいたずらしないよう対策しましょう。

猫が安心して使用できる「猫用こたつ」とは?

猫用のこたつは人間用のこたつとは異なり、猫が安全に使用できるようにさまざまな工夫がされています。

それぞれ商品によって違いはありますが、例えば、ヒーター部分には猫が直接ふれてやけどをしないよう、保護網が貼ってあったり凹凸のある設計になっていたりします。また、熱源に猫の目に影響のある赤外線ランプを使用していない猫用こたつが多いのも特徴です。

電源コードは、噛みつき防止のために金属などのチューブで保護され、プラグ部分も感電しないような工夫がされています。中には猫が出入りしやすいよう、こたつ布団の部分にワイヤーが入っている物もあります。
いずれも熱くなりすぎず、安全に配慮しつつも猫が快適に入っていられる構造になっているため、安心して猫に使わせることができるのです。

おすすめ商品

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    カラダ全体をあたためるペット専用電気こたつ。天板はヒーターになっているため、こたつ内部だけでなく、天板に乗ってもあったかい。多頭飼いの方にもぴったりです。こたつ布団・マットはオシャレな三角柄。

猫には、猫用こたつを与えるのがおすすめ

猫にとって魅力的なこたつですが、人間用のこたつにいっしょに入るのはさまざまなリスクが伴います。できることなら、猫にとっても飼い主さんにとっても安心な猫用こたつを準備したいものです。
もし、人間用のこたつを使用する場合は、低温やけどや脱水症といった事故のないよう猫の様子をこまめにチェックし、猫が暖かく快適に過ごせるようにしてあげましょう。

よくある質問
猫のこたつQ&A

猫がこたつに入って丸くなるのはなぜ?
猫がこたつに入って体を丸くするのは、かつては身を守るために砂漠で穴を掘りその中にぴったり丸まって寝ていたため、その頃の本能からだと考えられています。また、猫は手足を縮めて小さく丸くなることで表面積を少なくし、熱の拡散を防いで寒さをしのいでいるそうです。


猫がこたつに入っているときの注意点は?
猫がこたつに入っている際には、低温やけどや一酸化炭素中毒、脱水症に注意が必要です。また、こたつを温める赤外線は、猫の目にとっては良くないものといわれています。猫がこたつの中にいると、長時間赤外線を全身で浴び続けることとなり、白内障や失明のリスクが高まってしまうため、注意が必要です。その他にも通電中のコードを噛んだり引っかいたりすると感電ややけどをしてしまう危険があります。


猫がこたつを安全に利用するには?
練炭や豆炭を熱源とするこたつは、一酸化炭素中毒のリスクを伴うため、猫もいっしょに入るのであれば、電気こたつを使用するようにしましょう。また、こたつの内部が高温になりすぎないよう、温度設定は常に「弱」にしておきましょう。電気こたつのコードには安全カバーを正しく巻き、猫がいたずらしないよう対策しましょう。