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はじめて子犬を迎える際の準備は?飼い方、心構えなどについても解説

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はじめて子犬を迎える際の準備は?飼い方、心構えなどについても解説
何の準備もなくワンちゃんを迎えると、ワンちゃんも飼い主さんも生活の変化に戸惑い、ストレスを溜めてしまう可能性があります。ワンちゃんに安心・安全な環境を与え、一緒に楽しく暮らしていくためには、前もって準備を進めておくことが必要不可欠です。

ここでは、ワンちゃんを迎え入れる際の心構えから、迎え入れた後のフードの与え方や散歩の頻度、ワクチンや避妊・去勢手術のことまで、知っておきたい情報を幅広くご紹介します。

目次

監修

ますだ動物クリニック院長 増田国充先生
ますだ動物クリニック
静岡県島田市向谷3-918-9

北里大学獣医学部獣医学科卒業。専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師、日本ペットマッサージ協会とペット薬膳国際協会の講師を務める。東日本大震災における被災動物レスキュー活動などにも参加。一般的な西洋医療のほか、鍼灸治療や漢方、ペットマッサージなどを通して動物の健康に取り組む。

ワンちゃんを迎える上での心構え

ワンちゃんの寿命は犬種によってもさまざまですが、健康で安全な環境だと比較的長く家族として暮らせる動物です。ワンちゃんを飼うということは、そのワンちゃんの面倒を一生見るということと同義です。毎日の食事はもちろん、散歩や排泄の処理、しつけ、安全管理、病気の予防などすべてが命を預かる飼い主さんの責任になります。

5年後、10年後の散歩などの生活シーンを想像してみてください。ワンちゃんと暮らす毎日はとても素敵なものですが、ワンちゃんについてきちんと理解せずに飼いはじめると悲劇がおこる場合もあります。飼う前にペットの情報サイトや本できちんと情報を集めた上で、本当に飼うかどうかを十分に検討しましょう。

<ワンちゃんを飼えなくなる主なケース>
・転勤の際に引っ越し先がペット禁止だった場合
・家族にアレルギーが出た場合
・しつけが悪く近所から苦情がきたが対処できない場合
・飼い主さんがワンちゃんをコントロールできずに人を攻撃した場合
・家族の介護や赤ちゃんの世話のため、ワンちゃんの散歩など面倒が見られない場合
・飼い主さんが病気やケガになり、ワンちゃんの散歩や世話ができない場合

ワンちゃんに出会う方法は?

ワンちゃんを家族に迎えるには、ペットショップやブリーダーから購入する、一般家庭で生まれた子犬を譲り受ける、動物保護施設から引き取るなどの方法があります。
純血種の子犬を入手するなら、信頼のおけるプロのブリーダーから購入し、親兄弟のワンちゃんたちとふれあいの時間をたっぷり持たせ、生後8週間ぐらいの時期に引き取るのがオススメです。しかし、なかにはワンちゃんを命ではなくモノとして扱う悪質な業者がいるのも事実です。衝動買いをせずにじっくり調べて、実際に足を運んで決めましょう。

<ワンちゃんの主な入手先と注意点>
・ペットショップ
早い時期に親犬や兄弟犬から引き離されている場合や長期間展示されている子犬は、社会経験が不足している場合もあります。スタッフに飼育期間や飼育環境などを確認し、ワクチン接種など病気予防や健康管理も万全なショップを選びましょう。

・ブリーダー
子犬の健康に気遣い愛情を持って接しているのはもちろん、食事とトイレの場所が区別された清潔な環境であり、親犬や兄弟犬、さまざまな人間とも接触する機会が多いところを選びましょう。さらに、親犬の性格がよく病気予防など健康管理も万全なところがオススメです。なかには劣悪な環境で飼育する営利目的で大量生産タイプのブリーダーもいるので注意が必要です。

・動物愛護施設
動物愛護施設では、スタッフがあなたのライフスタイルや生活環境に合うワンちゃんをアドバイスしてくれます。またワンちゃんの譲渡の際には、去勢・避妊やしつけ講習会参加などの条件が伴う場合が少なくありません。ワンちゃんによっては精神的に不安定な場合や保護生活が長いと新しい環境に慣れにくい面などもあるため、十分に注意しましょう。

・里親募集
里親募集を通じてワンちゃんを迎え入れる場合、個人レベルのやりとりが中心になるため、譲渡条件などを最初に確認してトラブルがないようにしましょう。提示されている内容だけでなく、実際の子犬を自分の目で見て、飼育環境や飼育状態など納得できるかどうか判断することが大切です。

ワンちゃんを迎え入れる際の注意点

初めてワンちゃんを飼うときには、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。ここでは、ワンちゃんを迎え入れる際の主な3つの注意点について、それぞれ説明します。

 

ライフスタイルに合った犬種かどうかを確認しておく

ワンちゃんを迎え入れる際は、飼い主さんのライフスタイルに合った犬種かどうかをあらかじめ確認しておくことが大切です。
人間が作り出した純血種は、犬種ごとに明確な特性があります。性格には個体差はあるものの、犬種ごとでそれぞれある程度は成長後の特徴をイメージできるため、自身のライフスタイルに合ったワンちゃんを選ぶことができます。

初めてワンちゃんを飼うときは、シーズーやトイプードル、パグなどの従順で攻撃性が低くしつけがしやすい犬種がオススメです。
また、室内飼いをする方や小さな子供がいるご家庭には、マルチーズやフレンチブルドッグ、ボストンテリアなどの穏やかな犬種が良いでしょう。

一方、雑種犬は特性を推測しにくいものの、遺伝的な病気にかかりにくいといわれています。愛犬と長く一緒に過ごすため、雑種犬を選ぶのも手です。

 

飼い主の運動量に適した犬種を選ぶ

愛犬と一緒に散歩や運動を楽しみたい飼い主さんの場合、運動量が多めの牧羊犬、狩猟犬などの運動量の多い犬種のワンちゃんを選びましょう。具体的には、シベリアンハスキーやゴールデンレトリバー、コーギーなどの犬種がオススメです。

また、体が大きいほど運動量が増える傾向にあるため、体力に自信がない飼い主さんの場合は、チワワやマルチーズ、ポメラニアンなどの運動量の少ない犬種が良いでしょう。

 

換毛期の有無を確認しておく

ワンちゃんを迎え入れる際は、あらかじめ換毛期の有無を確認しておきましょう。
例えば、オーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)を持つダブルコートのワンちゃんは、換毛期が年に2回あります。そのため、ミニチュアダックスフンドや柴犬などのダブルコートのワンちゃんの飼い主さんはその都度、抜け毛の掃除とブラッシングをしなければなりません。

お手入れにあまり長い時間をかけられない飼い主さんの場合は、換毛期がなく抜け毛が少ないシングルコートのワンちゃんを選ぶのがオススメです。
プードルやヨークシャー・テリアなどのシングルコートのワンちゃんであれば、換毛期がなく抜け毛が少ないため、ダブルコートのワンちゃんに比べるとお手入れがラクでしょう。

ワンちゃんを迎える際の準備は?

新しい家族になるワンちゃんが決定したら、家に迎える日までに生活できるようにペット用品をそろえておきましょう。
最低限用意すべきグッズは、下記のとおりです。

・トイレ用品
ワンちゃんのサイズに合ったトイレトレーと使い捨てのペットシートを用意しましょう。トイレトレーは、洗いやすいプラスチック製のものがオススメです。

・フード
ワンちゃんが環境に慣れるまでは、ブリーダーの犬舎やペットショップでもともと食べていたフードをそのまま引き継ぐのがオススメです。

・食器
フードや水を入れる食器は、必ずワンちゃん専用のものを用意しましょう。ワンちゃんが食べやすい高さに皿を置けるスタンド付きの食器が便利です。

・お手入れ用品
シャンプーやデンタルケア、ブラッシングなど、日々のお手入れに必要なグッズも用意しておきましょう。ワンちゃんの犬種や好みに合ったグッズを選ぶのがオススメです。

・掃除用品
粗相や嘔吐など、子犬のうちは室内を汚してしまうことも多々あるため、掃除用品も準備しておきましょう。ペット用のウェットシートや粗相の臭い消しスプレーなどがあると便利です。

・おもちゃ
噛むためのおもちゃを用意しておくことで、ワンちゃんが喜ぶでしょう。

また、ワンちゃんを迎える際には、グッズを用意するだけでなく、ワンちゃんが快適に過ごせるような環境づくりも必要です。
準備しておきたい主な環境は、下記のとおりです。

・子犬の寝床となる専用スペース
ケージやサークル、クレートを用意し、その中に母犬や兄弟犬のにおいのついたタオルを入れておくと安心です。

・危険なものへの対策
電気コードや薬品類、観葉植物など、口にしたり、いたずらをされたりしたら困るものは、事前に片付けておくなどの対策をしましょう。

・木製の家具への対策
木製の椅子やテーブルの脚、タンスの角などは、子犬がかじる可能性があります。それを避けたいのであれば、事前に子犬が嫌う味のかじり防止スプレーなどをかけておきましょう。

ワンちゃんは屋内と屋外、どちらで飼うべき?

元々ワンちゃんは群れの中で暮らす動物なので、室内犬や外飼い向きの犬種というのはなく、皆、飼い主さんの家族と一緒にいることが最も自然な状態です。飼い主さんの家族と同じ屋根の下に住み、一緒に行動したり外出したりすることが、ワンちゃんにとっての一番の幸せです。

また、人間と同じように、ワンちゃんにも安心して眠れる場所が必要です。外だと夜中に見知らぬ人が通ったり、不審な物音がしたりするたびに緊張します。実際、屋外で長時間つながれて生活するワンちゃんは、寂しさや不安、退屈、運動不足などのストレスからよく吠え、モノを壊し、攻撃的になりやすい傾向があります。さらに室内で暮らすワンちゃんのほうが家族と接する時間が多くなるので、コミュニケーションがとりやすく、しつけもうまくいき、体調の変化にも早く気がつくはずです。

そのような理由から、室内飼いのほうがワンちゃんとの生活から得られる楽しみも大きくなることでしょう。

ごはんの与え方のポイント

フードは、健康によい食事を、月齢に合わせて与えるのがポイントです。

生後3ヵ月ごろまでは、子犬用のウエットフードやドライフードをふやかしたものが食べやすく、消化しやすいでしょう。初めての環境でごはんの種類まで変わると混乱するワンちゃんが多いため、飼い主さんが迎え入れる前から食べていたフードの種類をペットショップやブリーダーに聞いておくことをオススメします。
フードを切り替えるときは、元々のフードに新しいフードを少しずつ混ぜていくと無理なく切り替えられます。

また、ごはんを与える回数や量は、月齢や体格、体調によっても異なります。
成長期の子犬はたくさんのエネルギーが必要ですが、一気に食べるとおなかに負担がかかるため、3回から4回に分けて与えることが大切です。しかし、成長速度を見ながら徐々に成犬用フードに切り替えた後は、食事の回数は1日2回にします。必要な栄養素をバランスよくとれるよう、「総合栄養食」の表示があるフードを選ぶのがオススメです。重ねて、ワンちゃん用のフードの中には、体重が気になる子、病気がある子など、体のお悩みに合ったフードも販売されているため、状態に応じて適切なフードを選ぶことが大切です。

なお、人間の食べ物を安易に与えるのは危険です。人間の食べ物は、ワンちゃん用のドッグフードなどと比べると、塩分や糖分、脂肪分がたくさん入っています。そのため、人間の食べ物をワンちゃんに闇雲に与えてしまうと、栄養バランスを崩したり、肥満や病気になってしまう可能性があります。重ねて、人間の食べ物を一度ワンちゃんに与えてしまうと、ワンちゃんは「また次回も食べさせてもらえる」と期待してしまい、段々と食べ物への要求がエスカレートしたり、人間の食べ物をもらえない場合に吠える癖がついてしまったりするリスクもあります。
ここでは、人間の食べ物のうち、ワンちゃんに与えてはいけない食べ物と注意が必要な食べ物について、それぞれご紹介します。

 

与えてはいけない食べ物

人間にとっては問題なく食べられる食べ物であっても、ワンちゃんに対しては絶対に与えてはいけない食べ物があります。具体的には、下記のとおりです。

<ワンちゃんに与えてはいけない主な食べ物>
・ネギ類(タマネギ、長ネギ)
・にら
・にんにく
・ゆり根
・ふきのとう
・チョコレート
・アルコール
・香辛料
・アボカド

万が一、これらの食べ物をワンちゃんが食べてしまった場合、食中毒やアレルギー症状が発生し、重症化すると死に至る危険もあります。そのため、愛犬が絶対に口にしないよう、これらの食べ物は絶対にワンちゃんの近くに置かないようにしてください。

 

注意が必要な食べ物

人間の食べ物のうち、ワンちゃんに与えるうえで、注意が必要な食べ物は下記のとおりです。

<注意すべき主な食べ物>
・かぼちゃ
・さつまいも
・とうもろこし
・トマト
・キャベツ
・きゅうり
・レタス

きゅうり、レタス、キャベツ以外は下茹でし、細かく刻んでひとつまみ程度にとどめましょう。心臓病や腎臓病を患っているワンちゃんは、野菜に含まれるカリウムを避けるため、摂取を控えてください。

散歩はどのくらい必要?

ワンちゃんの散歩は、1日2回が目安です。1回あたりの散歩の時間は、小型犬なら15分から30分、中型犬なら45分ほど、大型犬なら60分以上が理想的です。また、個体差もあるため、ワンちゃんの様子を見ながら調整してください。

なお、ワンちゃんの散歩の目的は運動とストレスの解消であり、排泄は含まれません。
混合ワクチン接種だけでなく、室内でのトイレトレーニングも済ませてから出掛けるようにし、公共の場を汚さないようにしましょう。自宅のトイレで排泄する習慣をつけておけば、悪天候などで散歩に連れて行けない日も安心です。
散歩に行くときは、万が一散歩中に排泄をしてしまった場合に備えて、排泄物を処理するグッズは常に携帯しておきましょう。ビニール袋、ペットシート、スコップなどを持ち歩き、必ず持ち帰って適切に処分してください。

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予防接種やワクチン接種は必要?

ワンちゃんを迎え入れたら、すみやかに自治体への登録を済ませ、狂犬病の予防接種と混合ワクチン接種を行いましょう。

狂犬病の予防接種は、国が定めている狂犬病予防法により生後3ヵ月以降のすべてのワンちゃんに義務付けられています。自治体による集合注射が行われているほか、動物病院でも受けることができます。

また、混合ワクチンは義務ではありませんが、複数の病気の予防が1本でできるワクチンであるため、ワンちゃんの命を守る飼い主さんの責任として接種を検討しましょう。
室内飼いなら問題ないと考える方もいるかもしれませんが、人を介して感染症に罹患することも考えられるため、できる限り接種することが望ましいです。
ワンちゃんの混合ワクチンは、すべてのワンちゃんを対象にした「コアワクチン」と、暮らす地域や暮らし方などによっては接種が推奨される「ノンコアワクチン」からなり、下記のタイミングで接種を行います。

<混合ワクチン接種時期>
・1回目の接種時期:生後6週間後から8週間後
・2回目の接種時期:生後12週間後
・3回目の接種時期:生後16週間以降

上記の3回の接種を済ませたら、以降は原則として1年に1回接種することが推奨されています。

避妊・去勢手術は必要?

ワンちゃんの避妊・去勢手術を行うかどうかは、メリット・デメリットを踏まえて判断する必要があります。
具体的なメリット・デメリットは、下記のとおりです。

■メスのワンちゃんの避妊手術のメリット・デメリット

メリット デメリット
・望まない妊娠の防止
・生殖器系の病気やホルモンに関連する病気の予防
・発情期に起こる問題行動や食欲減退で悩まされることが減る
・繁殖行動ができなくなる
・手術時の全身麻酔による体への負担がかかる
・手術費用がかかる

■オスのワンちゃんの去勢手術のメリット・デメリット

メリット デメリット
・生殖器系の病気やホルモンに関連する病気の予防
・攻撃性の低下、ワンちゃん同士のケンカの減少により、感染症にかかる可能性が低くなる
・臭いスプレー(マーキング)で悩まされることが減る
・繁殖行動ができなくなる
・手術時の全身麻酔による体への負担がかかる
・手術費用がかかる

そのため、飼い主さんは、ワンちゃんにどのように過ごしてほしいか、どうすれば一緒に幸せな生活が送れるかをよく考えた上で、手術の有無を決める必要があります。
手術をする場合は、避妊手術なら生後5ヵ月から6ヵ月ごろの発情期が始まる時期、去勢手術なら性成熟期を迎える前の生後半年から1年未満に行うのが一般的です。

ワンちゃんを飼うためにかかる費用は?

ワンちゃんは命ある生き物であるため、飼うとなるとさまざまな費用がかかります。
一般社団法人ペットフード協会「令和4年 全国犬猫飼育実態調査」によると、ワンちゃんを飼う上で生涯にかかる費用は、平均で388万2,754円といわれています。
この調査をもとに、ここでは、ワンちゃんを飼う上で具体的にかかる費用について、ひとつずつみていきましょう。

 

初期費用

ワンちゃんを迎える際には、生体購入にかる費用以外にも、さまざまな費用がかかります。
初期費用として最初にかかる主な費用は、下記のとおりです。

・ワンちゃんの生体購入費
ワンちゃんの生態購入費用やブリーダーから譲り受けた場合に発生する費用のことです。平均金額は17万6,604円といわれています。

・自治体登録料
ワンちゃんを飼い始めたことを自治体に登録する際にかかる登録料のことです。登録手数料は1頭につき3,000円程度。飼い始めてから30日以内に、住んでいる市区町村へ申請の必要があります。

・各種ワクチン接種費
狂犬病予防接種やワクチンの予防接種にかかる費用のことです。狂犬病ワクチン接種の料金、は1頭につき3,000円から4,000円かかります。その他ワクチン接種の料金は、動物病院によって値段は異なるものの、おおよそ3,000円から1万円程度です。これらのワクチン接種の費用は、毎年かかる費用にも含まれます。

・避妊&去勢手術費
犬の避妊や去勢の手術をする場合の費用のことです。平均金額は2万1,771円といわれています。

・各種飼育グッズ代
おもちゃ、ベッド、首輪、リード、お手入れ品、サークルなどの飼育グッズを購入するための費用のことです。ワンちゃんを飼い始める際にかかる費用の全種平均は、2万8,052円といわれています。

 

日常的にかかる費用

ワンちゃんと一緒に暮らす上で日常的にかかる主な費用と各費用の平均金額は、下記のとおりです。

■日常的にかかる主な費用の平均金額

費用の種類 ひと月あたりの平均金額 生涯でかかる平均金額
食費 7,807円 138万2,776円
トイレまわりにかかる費用
(例:ペットシーツ、おむつ、消臭スプレーなど)
3,253円 57万6,171円
消耗品にかかる費用
(例:おもちゃ、お手入れ用品、洋服など)
2,902円 51万4,002円

 

医療費

病気やケガで動物病院へ行った場合には、ワンちゃんの医療費がかかります。一般的に、大型犬は、小型犬より医療費がかさむ傾向があるでしょう。また、ワンちゃんが年齢を重ねていくと病気が増えるため、その場合は毎月医療費がかかる可能性もあります。ワンちゃん一匹あたりにかかる一生分の医療費は平均で79万3,905円といわれています。

また、ワンちゃんを病気から身を守るためには、年に一回のワクチン接種や健康診断も受けなければなりません。
ワクチン接種の費用は、一回あたりおおよそ3,000円から5,000円程度かかり、生涯かかる平均金額は7万8,232円かかるといわれています。また、健康診断は一回あたり1万円程度に収まることが多く、生涯かかる平均金額は9万9,895円かかるといわれています。生涯でみるとそれなりの金額にはなりますが、病気の早期発見につながると考えれば納得できる金額といえるでしょう。

 

ペットサロン代

犬の被毛をカットして整えるトリミングや爪切り・耳掃除のグルーミングなどのために、ペットサロンを利用することもあるでしょう。
ペットサロンを利用していない場合は0円としてワンちゃんを飼っている世帯の平均値を算出すると、ペットサロンにかかる平均費用は、年間で1万6,292円、一生涯で24万470円といわれています。

 

エアコン代

近年では、ワンちゃんを室内飼いしていることも多いため、猛暑期や厳寒期にはワンちゃんのためにエアコンを使う場合があります。
ワンちゃんのためにかかる電気代の平均金額は、年間で1万95円、一生涯では14万9,002円といわれています。

マイクロチップ装着義務化とは?

2022年6月から、ブリーダーやペットショップで販売されているワンちゃんやネコちゃんには、マイクロチップを装着することが義務付けられました。
マイクロチップとは、直径1.2mm、長さ8mm程度の円筒形の機器のことで、15桁の番号に紐づけて飼い主さんの情報などが登録されています。マイクロチップは、獣医師によってワンちゃんの体に直接装着されるため、首輪や迷子札のように外れる心配がありません。迷子になったり、災害の際にはぐれたりしたときにも、専用のリーダーでマイクロチップを読み取れば個体識別が可能です。
ブリーダーやペットショップ以外からワンちゃんを迎え入れる際も、安心・安全のためにマイクロチップの装着を検討すると良いでしょう。

なお、ブリーダーやペットショップから自宅に迎え入れたワンちゃんは、すでにマイクロチップに登録されている情報を更新する必要があります。環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録」、もしくは専用のコールセンターで変更手続きを行ってください。

ワンちゃんを飼うことで、飼い主さんの生活はどう変わる?

ワンちゃんを飼うことには、責任が伴います。ただ「かわいい」「癒される」だけではなく、ひとつの命を預かる自覚を持って暮らさなくてはなりません。生活が変わることも覚悟して飼うことが非常に重要です。

ここでは、ワンちゃんを飼うことによる主な4つの生活の変化について、それぞれ説明します。

 

朝夕の散歩が必要になる

ワンちゃんを飼い始めたら、ワンちゃんのストレス解消と運動のため、原則として朝と夕の1回ずつ散歩が必要になります。仕事をしている飼い主さんであれば、朝少し早く起きる・帰りに飲みに行くのを少し我慢するなどして、時間を捻出することも考えなくてはなりません。

 

長期間の外出ができない

ワンちゃんを飼い始めると、長期間の外出ができなくなります。
ワンちゃんは、長期の留守番に適した動物ではありません。ペットホテルに預ける、ペットシッターに来てもらうといった対応ができない場合は、長期の旅行はできないと考えましょう。

 

行けない場所ができる

ワンちゃんを連れている場合、一部の場所へは行くことが難しくなるでしょう。
例えば、ショッピングセンターやレストランなど、ワンちゃんを連れて入れない場所はたくさんあります。お気に入りのお店に気軽に行けなくなる、買い物の範囲に制限ができるなどといったことはあらかじめ考慮しておく必要があります。

 

日頃のさまざまなお世話が必要になる

ワンちゃんと一緒に生活する場合、ごはん、トイレのお世話、抜け毛ケア、お風呂など、ワンちゃんへのさまざまなお世話が必要になります。
そのため、基本はワンちゃん優先の生活になることを覚悟しておきましょう。

もし、仕事の都合などによって、どうしてもワンちゃんのお世話が疎かになってしまいそうな場合は、親族や友人などの信頼できる人に代わりにしてもらうか、もしくはペットシッターに預けるなどの対応が必要です。

準備を整えて、ワンちゃんとの暮らしを始めよう

ワンちゃんとの新しい毎日に向けて、知っておきたいポイントをご紹介しました。ワンちゃんとの暮らしは楽しいだけでなく、責任が伴うものです。本記事を参考に、ワンちゃんとの生活の基盤を整えましょう。

よくある質問
ワンちゃんの飼い方Q&A

ワンちゃんを飼う前の心構えとは?
ワンちゃんを飼うということは、そのワンちゃんの面倒を一生見るということ。毎日の食事はもちろん、散歩や排泄の処理、しつけ、安全管理、病気の予防などすべてが命を預かる飼い主さんの責任です。ワンちゃんと暮らす毎日はとても素敵なものですが、飼う前にペットの情報サイトや本できちんと情報を集めて検討してください。


ワンちゃんを飼えなくなるケースとは?
ワンちゃんを飼えなくなる主なケースとして、引っ越し先がペット禁止だった、家族にアレルギーが出た、近所からの苦情に対処できない、ワンちゃんが人を攻撃した、家族の介護や赤ちゃんの世話、飼い主さんが病気やケガのため面倒が見られない、などのケースが挙げられます。


ワンちゃんに出会う方法とは?
ワンちゃんを家族に迎えるには、ペットショップやブリーダーから購入する、一般家庭で生まれた子犬を譲り受ける、動物保護施設や里親募集のお知らせから引き取るなどの方法があります。


ワンちゃんを選ぶ時の注意点は?
ルックスだけにとらわれず、性質や運動量、換毛期の有無などを踏まえてライフスタイルに合うワンちゃんを選びましょう。性格には個体差があるものの、純血種は成長後の性質が予想しやすく、飼いやすいワンちゃんを見つけやすいです。初めて飼うときは、従順で攻撃性が低くしつけがしやすい犬種がオススメです。


ワンちゃんを迎える前に準備しておきたい環境やグッズは?
家族が集まるリビングなどを自由にさせる部屋に限定して、ペット用品をセットしておくと便利です。また、部屋の奥に寝る場所となるハウスを設置し、入り口近くにトイレを用意すると快適に過ごすことができます。


フードの与え方のポイントは?
生後3ヵ月ごろまでは、子犬用のウエットフードやドライフードをふやかしたものを1日3回から4回与え、成犬になった後は1日2回総合栄養食を与えます。人の食べ物の中にはワンちゃんの命を脅かすものがあるため、与え方に注意してください。


散歩はどれくらい必要?
散歩は1日2回が目安です。小型犬なら15分から30分、中型犬なら45分ほど、大型犬なら60分以上を目安にしましょう。


避妊・去勢手術は必要?
避妊・去勢手術には、望まない妊娠を避ける、病気を予防する、発情期の問題行動を防ぐなどのメリットがある反面、全身麻酔による負担やホルモンバランスの乱れ、性格の変化などのデメリットもあります。愛犬にとって最善の方法は何か、よく考えて決めましょう。